popoのブログ

超短編(ショートショート)

やり残した人生

人の寿命が30年だとしたら

あなたはどう生きる?


高校を卒業して残されたのは12年。

あなたは何をする?

 

もし、余命2年と告げられたら

今からやれることは何がある?

 

少しだけ考えてくれ。

 

俺は若い頃、起業して

会社を、事業を、大きくすることに

一生懸命になった。

考える時間もたくさん使い、

日々苦難との戦いだった。

業績が伸びてもさらに上を目指した。

頭の中は常に会社のことだった。

 

会社を後継者に譲り、俺は老後の生活に入っている。

俺はこの歳になって自分の人生を振り返る。

「やり残したことばかりだ。」

愛した妻とは離婚した。

家族旅行に出かけたことは一度しかなかった。

キャンプなんてしてみたいなあ。

そう思っても今ではもう動けない。

バイクを走らせツーリングしたい。

それもまた年齢が邪魔をする。

ペットを飼ってみたかったが

今からでは残して俺が先に逝ってしまう。

「ああ。孫の顔くらい見たかったなあ」

 

プライベートは何とかなると思っていた。

結局、俺はずっと仕事のことばかりだった。

何のための仕事だったのだろう。

気付いたら俺はもう高齢者だ。

体が、脳が、限界だ。活力も湧いてこない。

ただただ「やり残した」という想いだ。

 

もう一度問う。

人の寿命が30年だとしたら

(俺は違った人生を送ってきただろう。)

余命2年を宣告されたら。

(俺は違った人生を送ってきただろう。)

そしてきっと

「やりきった」に変わっていただろう。

 

ぼんやりある将来を、たまにはリアルに考えてみてくれ。

これが人生を考えるということだ。

まだ未来がある。まだ時間はある。