popoのブログ

超短編(ショートショート)

営業マン

おはようございます

始業と共に慌ただしくなる社内。

最近ではオンラインでの打ち合わせが増えてきた。

うちの会社では、ほとんどの社員が外出することはない。

そんな中、俺はいつものように外出する。

 

「おはようございます。」

「おお!おはよう。」

「今日は少し冷えますね」

「そうだな。ほれ。あったかいものでも飲め」

「あれ?ちょっと疲れてませんか?」

「おお。昨日夜遅くまで残業でな。」

「ほどほどにしてくださいね。体が一番大事ですから」

「ありがとな。」

缶コーヒーを飲みながらその後も他愛のない話をする。

「それでは失礼します。」

「気をつけてな。また来てくれ。」

 

その後も数人と会って、会社に戻る。

俺が一件訪問する間に、二件の打ち合わせを済ませる同僚。

俺は効率の悪い営業マンかもしれない。

それでも表情を見て、顔色を見て、

僅かな間と、僅かな呼吸。

その人を感じて、対面で話すことが大好きだ。

 

こう言われたことがある。

「元気な顔見ると安心するよ。

 最近じゃあ、皆なかなか顔も出してくれないからなあ。

 昔じゃあ、付き合いだけで仕事したもんだ。

 仕事と割り切っての付き合いが俺は苦手でよう。

 義理と人情なんて、よく言ったもんだ。」

 

俺は現代に似つかない営業マン。

俺は現代には珍しいタイプの営業マン。

それでいい。