popoのブログ

超短編(ショートショート)

死の商人

少しの衝撃で爆発する液体。

しかしそれは持ち運ぶ振動で暴発したり

爆発に至らないこともある不安定な爆薬。

「これでは却って危険だ。」

「それにしてもすごい威力だ。」

「もっと安定して確実なものに出来れば。」

彼はそれから研究を重ねた。

紙、木炭、石炭、おがくず、様々な材料を試した。

そしてついに安定して爆発を起こすことが出来るものを発明した。

彼はそれを“ダイナマイト”と名付けた。

 

そんなある日、郊外の工場で事故が起きる。

「大変だ!早く来い!」

現場に着いた彼が目にしたのは、弟の死だった。

彼は、悲しみと後悔の念を抱いた

そう。奇しくも、その原因は爆発だったのだ。

しかし、彼はそれ以上に発明への追求心が勝った。

「もっと安全で確実なものにしなくては。」

 

ドカーン!!

彼の発明品は各地で使われた。

トンネルの掘削。建物の破壊。そして兵器として。

彼はダイナマイトによって莫大な富を得たのだ。

「なんて恐ろしいものを作ったんだ。」

同時に、彼についた名は“死の商人”だった。

 

独身だった彼はある女性に心を惹かれた。

彼女はとても魅力的で、彼にとっては

研究以上に夢中になれる恋だった。

「わたし、いつか本を書きたいわ」

「わかった。俺の資産を捧げよう」

しかし彼は生涯独身という人生を送った。

 

彼はこう言い残した。

“There is nothing that is not being exploited in the world.

Advances in science and technology’s back-to-back and always dangerous.

It’s the first time can contribute to the future of mankind and to overcome it.“

「この世の中で悪用されないものはない。

科学技術の進歩はつねに危険と背中合わせだ。

それを乗り越えてはじめて人類の未来に貢献できるのだ。」

 

そして彼女は一冊の本を出す。

タイトルは・・・“Die Waffen nieder ” 

                          「武器を捨てよ!」