「おとうさん。ちょっとそれ取って。」
「ああ。よっこらせっと。」
もうちょっとで孫に会える。
その気持ちのおかげで、わたしは気分がいい。
「あとでちょっと買い物行かんか?」
「おもちゃはこの前買いましたよ。」
「ああ。でも落ち着かなくてなぁ。」
どうやら、おとうさんもそうみたい。
「ほれ。」
「ありがとう。」
「黒豆はあるか?」
「ありますよ。あの子の好物ですものね。」
「そうだな。栗はあるか?」
「ありますよ。もう。おとうさん。少しは落ち着いて。」
「あ。ああ。そうだな。」
こたつに戻るおとうさんの背中は
ちょっと寂しそうにも見える。
(あら。きつく言い過ぎたかしら?)
「そうだ。おかあさん。お菓子も買わないと。」
「また、あの子に怒られますよ。」
「いいだろう。年末くらい。お菓子買おう。
あと、ケーキも買うか。」
「クリスマス終わったばかりですよ。」
「ケーキ食べてないかもしれないだろう?」
「何言ってるの。写真を送ってきてたじゃないですか。」
「あ。ああ。そうだったな。」
いらぬ心配だったみたい。
楽しみで仕方ないのね。
わたしも同じですけどね。