popoのブログ

超短編(ショートショート)

一杯のビール

金曜日、満員電車を降りた瞬間に、

重たい荷物が肩にのしかかるように感じた。

一週間の疲れが一気に押し寄せてくる。

家にたどり着き、ようやく

解放されたような気持ちになる。

冷蔵庫から取り出したのは、

キンキンに冷えたビール。

「ああ~つかれたぁ」

一口飲むと、苦味と同時に

爽快感が口いっぱいに広がる。

仕事のストレスが溶け出すような感覚だ。

テレビをつけ、何も考えずにただビールを味わう。

至福のひとときだ。

 

休日は、朝から家族サービスに奮闘。

公園で子供と遊んだり、

買い物に行ったり、家事の手伝いをしたり。

充実した一日を過ごす

一方で、疲労も蓄積していく。

「おつかれさま。」

そんな時、妻が差し出してくれた、一杯のビール。

その優しさに心が温まる。

「ぱぱ!おひげの泡やって」

家族との団らんを楽しみながら、

ビールをゆっくりと味わう。

幸せな時間を過ごせるのは、

家族のおかげだと

改めて感謝の気持ちを抱く。

 

日曜日の夜、明日からの仕事のことを考えると、

少し憂鬱な気持ちになる。

そんな時、自分に言い聞かせるように、

冷蔵庫からビールを取り出す。

「よし!がんばるか」

明日への活力となるように、

ゆっくりと味わう。

苦味を感じながらも、

どこか前向きな気持ちになれる。

明日からも頑張ろうという決意が、

胸の中に生まれてくる。

 

同じ一杯のビール。

でも体調や環境、想いによって、味わいは全く違う。

疲れた時には癒しを与え、

家族との団らんをより楽しくし、

明日への活力をくれる。

 

皆さんは、どんな時にビールを飲みますか?

どんな想いを込めて、ビールを味わいますか?

 

それは、人生の喜びと苦楽を

象徴するものでもあるのかもしれません。