popoのブログ

超短編(ショートショート)

プロポーズ

付き合い始めて2年と少し。

(今日こそは)

俺は勇気をもって今日という日を迎えた。

待ち合わせから、その時まで。

レストランの予約はバッチリ。

指輪は事前に準備をし、花束も用意した。

タイミングは何度もシュミレーションした。

朝からデートを楽しみながらも、心の中では緊張の坩堝。

昼になるとデートどころではない。

心臓がバクバク言っている。

「大丈夫?」心配そうな彼女の言葉に、

バレてはいけないと「何が?」と無理やり普通を装う。

そして迎えた夕食の時。

食事の後に自分の気持ちを告げる瞬間を心待ちにしながらも

緊張はこれ以上ないくらい増していた。

デザートが運ばれてきた。

これを食べ終えたら。いよいよだ。

「かき混ぜてからお召し上がりください」

そんな言葉も頭に入らず、バクっとひとくち。

「ああ!」

(ん?)彼女が叫んだ。

ガリッ。(え?)

俺は口から噛んでしまった何かを取り出す。

「もう。」と言いながら笑う彼女。

目を丸くして唖然とする俺。

「ずっといっしょにいてね。」

俺は言葉に詰まり、驚きと嬉しさと感動で言葉が見つからない。

気付くと店内は俺たちに向けた音楽がなっていた。

「じゃあ今度は彼氏様」

そう言ってお店の人に預けていた箱が俺のもとに。

「あ。ああ。結婚しよう」

色々考えた言葉もすべて吹き飛んでいた。

驚きのプロポーズ。

笑いと涙に包まれたお店で、たくさんの拍手の中、

俺たちは誓いのキスをした。