popoのブログ

超短編(ショートショート)

ジェラートを食べて

お店の前に立つ私は、店内にお客さんがいないことを確認する。

 

「さて、今日は何味にしようかな?」

 

ショーケースにずらりと並んだ色とりどりのジェラート

迷いながらも、今日は爽やかなレモンを選んだ。

 

同時に恋人たちであろう二人が入ってきた。

私は足早に店を出た。

 

夏の太陽が照りつける街を歩いていると、

ジェラートが溶け出しそう。

少し焦りながらも、夏の風を感じながらゆっくりと味わう。

 

ジェラートの爽やかな酸味が口の中に広がり、幸せな気分になる。

誰かと一緒に食べたかったな、なんて考えが頭をよぎる。

それでも一人で過ごすこの時間が特別に感じられる。

 

公園に着くとベンチに座って、ジェラートをゆっくりと食べた。

周りには、無邪気な笑顔を見せる子供たち。

読書をする女性。犬の散歩をするおじいさん。

この穏やかな空間が、私の心を軽くする。

一人で過ごす時間も、楽しさがある。

 

夕焼け空の下、公園を後にする。

帰り道、ジェラート屋さんの前を通ると、甘い香りが漂ってくる。

少し店内を覗くと、お客さんでいっぱいだった。

 

私は既に今日、ここのジェラートを食べ終えたことを、

ちょっぴり誇らしく思う。

 

恋人がいないからといって、毎日がつまらないわけではない。

むしろ、一人で過ごす時間があるからこそ、

自分と向き合うことができ、たくさんのことを学べる。

 

大切なのは、今の自分がどれだけ幸せかということ。

 

明日の朝、目覚めたら、また新しい一日が始まっている。

どんな一日になるのか、今から楽しみだ。